平成15年3月定例会
◆基地対策特別委員長(市岡博道君) (登壇) 本特別委員会は、平成11年6月定例会において設置され、設置目的である「米軍基地施設の返還及び移転集約の促進」、「自衛隊基地施設の移転集約の促進」を図るため、これまで調査活動を行ってまいりましたので、その主たる概要につきまして、中間報告をさせていただきます。
委員会といたしましては、平成10年9月定例会において決議された新返還6項目について要望活動を続けてまいりましたが、平成13年には、これまで具体的な動きが見られなかった返還要望事項について大きな動きが出てまいりました。
一つは、赤崎貯油所の一部(県道俵ヶ浦日野線の改良に係る地域)が同年6月の日米合同委員会で、約1万3,500平方メートルの返還について合意がされ、現在県において工事が行われております。
また、もう一つは、同年6月に開かれた「佐世保基地問題を考える議員懇談会」において、防衛施設庁から、ジュリエット・ベースンの岸壁完成を前提に、またユーティリティーの確保を条件として、立神4、5岸と3岸の一部、SSKが一時使用中の赤崎貯油所の一部約3万1,000平方メートル、旧米海軍専用鉄道側線(旧ジョスコー線)のそれぞれについて、返還することにつき、米側の前向きな意向が確認できたとの報告がなされたことであります。
佐世保市議会としても、これを受け、同年6月定例会において「新返還6項目に関する感謝決議」を行い、新返還6項目の早期実現に努力する考えが示されたところでございます。
さらに、佐世保港のすみ分けを進めるための大きな要因となりますジュリエット・ベースンにおける新たな岸壁の整備については、防衛施設庁とされて、平成11年度は基礎調査、平成12、13年度は環境影響評価関係等、平成14年度は岸壁整備基本設計等を実施され、平成15年度には工事及び実施設計に要する経費として約49億円が予算案として計上されております。
この岸壁の整備概要としては、埋立面積約5.7ヘクタール、長さ約500メートル、工期はおおむね6年ないし7年程度が見込まれております。
次に、前畑弾薬庫の移転・返還につきましては、平成12年3月議会において、市長が前畑弾薬庫の移転先候補地を針尾島弾薬集積所と表明し、その後、関係地元の皆様方に対し、移転先表明に至った経過などの報告がなされ、引き続き意見交換の場が設けられるなどした後、基本構想につながる本格的調査につき、一定の了解を得た段階にあります。
国の動きといたしましては、平成11年度、12年度に前畑弾薬庫の現況調査、平成13年度には針尾島弾薬集積所の現況調査等が実施され、平成14年度には針尾島弾薬集積所に係る基本検討調査等が行われております。また、平成15年度は、針尾島弾薬集積所の周辺海域調査にかかる経費を含め、佐世保地区の移転集約構想のための経費として約5,400万円が予算案として提案されております。
その他の動きとしましては、まず、平成11年7月に、崎辺東側のエアクッション型揚陸艇−−いわゆるLCAC−−の駐機場移転問題につきまして、国から西海町に対し移転協力の要請がなされました。その計画は、当初、米軍横瀬貯油所において約9ヘクタールの陸域造成と約8ヘクタールの公有水面埋立を行い、格納庫、管理棟、洗機場、駐艇場等の整備を図るもので、その工期は環境調査等を含めて15年間でありましたが、その後、約5ヘクタールの陸域造成と約6ヘクタールの海域埋立に縮小変更され、さらに、工期も10年程度に縮小する案が出され、平成12年1月、西海町とされては、福岡防衛施設局の協力要請を受諾し、現在環境アセスメントが進められております。なお、LCACの駐機能力としては最大12隻との事であります。
次に、平成12年4月に、強襲揚陸艦「ベローウッド」と「エセックス」の交代配備に伴い立神4、5号岸壁の明け渡しが米軍から要求されましたが、関係機関の努力により、当初1カ月間の明け渡し要求が、結果的に14日間に短縮され交代作業は終了しております。
一方、海上自衛隊施設でありますが、昭和60年に海上自衛隊針尾弾薬庫建設に伴う市有地割譲の見返りとして、商港機能充実のため、倉島地区施設をジュリエット・ベースンへ移転集約することが検討されましたが、市の事業費負担の問題が大きなネックとなっておりました。その後、海上自衛隊とされても、施設の老朽化に伴う倒壊の危険性があり、倉島地区での施設建てかえを希望する旨の文書が出され、市としては、平成10年11月に施設整備を承認し、倉島地区施設の移転を断念したところでございます。海上自衛隊とされては、平成13年度から約10年計画で、艦艇後方支援機能や災害派遣拠点機能の整備を主とした倉島地区整備を行われております。
また、陸上自衛隊相浦駐屯地には、平成14年3月に西部方面普通科連隊が新設され、九州・沖縄の離島防衛・警備、災害派遣が主な任務で約600名の隊員が配備されております。
以上が概要でありますが、新返還6項目については、今後の推移を見守る必要はありますものの、大きな前進を見ているところであります。一方、基地を取り巻く環境は、依然として不安定な状況にありますことから、市勢の発展と市民の生命・財産を守る見地から、コンセンサスを得て、市当局とともに、新返還6項目を初め、諸課題に向け、引き続き努力することを申し上げ、中間報告とさせていただきます。
平成15年3月定例会基地対策特別委員長報告
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