佐世保市 令和 4年 3月 定例会 03月14日-05号 一般質問 1 区域区分による「まちづくり」について ○ 線引き制度の有効性 ○ 良好で持続可能な都市形成を進める手法の検討 2 救急・急病医療体制の維持について ○ 連携中枢都市圏の活用 ○ アクションプランの策定 ◆29番(市岡博道君) (登壇) こんにちは。 それでは、今回、通告をさせていただいております、大きくは2項目について質問をさせていただきます。 まず1項目め、区域区分制度、いわゆる線引き制度について当局の現時点でのお考えをお聞きしたいと思います。 本市は無秩序に宅地化が広がり、市街地が拡散するスプロール化を防いで良好なまちづくりを牽引することを目的として、昭和46年より線引き制度を導入されました。改めてその目的とは、無秩序な市街化を防止し、効率的・計画的な都市を形成するということであり、またこの制度の役割としては、都市活動と農業生産等の混在による外部不経済を防止し、互いに効率的な都市形成を図ることだと理解をいたしております。 しかしながら、まちづくり、いわゆる都市形成を取り巻く状況は今日、大きな変化をしてきていると思っております。そういった変化にこの線引き制度はどう位置づけをされているのか。課題、問題点が山積しているのではないか。仮にそうだとした場合、適切に行政としてそれにしっかりと対応ができているのかどうか。線引き制度を取り巻く課題、問題点も私自身は多々あると思っております。それらを踏まえて、都市計画、つまり良好なまちづくりの視点から見て本市の現状はどうなのでしょうか。線引き制度を取り巻く課題、問題点も多くあると思われますので、改めて確認をしてみたいと思います。 まず、本市に限らず、生活、いわゆる居住であれ、仕事であれ、レジャーであれ、全てにおいて従前より利便性の追求の機運がかなり高まってまいりました。その原動力となったのがモータリゼーションの発達だと思います。 その結果、生活の利便性は高まったものの、特に居住についてはどうなっていったのか。本市のように、中心部でさえ山あり谷ありの地形を有するまちでは、住宅を車の利便性が高い郊外に求める動きも強くなっていったものと思っております。職場にもその動きが見られるようになってまいりました。それに連動して、種々の商業サービスも同様の動きがあっていると思っております。そのような動きに線引き制度が果たして適しているのかどうか。 あわせて、本市においては市街化区域内においても、字図混乱地域が今なお多数存在をしている実態もございます。地籍調査作業も残念ながらかなりの年数、費用が今後もかかると思われます。 また、市町合併によって、佐世保市内で線引き制度がある佐世保市都市計画区域と線引き制度がない江迎都市計画区域、宇久都市計画区域、さらには世知原、吉井、小佐々地区のような都市計画区域外の地域が混在している実態もございます。それによって、地域によって土地利用の制限が異なるという状態が生じています。果たして都市政策上、問題はないのでしょうか。 さらに、調整区域における規制緩和によって、住宅問題を可能としたことにより、税負担の公平性、あるいは生活インフラ--例えば下水道整備--に差が生じている実態も出てきております。私なりに見ても、線引き制度にはこれだけの課題が山積していると思います。 当局とされても、6年ないし7年ごとに定期的に見直し作業はされておられますけれども、お聞きするところ、その内容としては、制度の見直し、あるいはほかのまちづくり手法の検討ではなく、規制緩和による調整区域内の住宅地を市街化区域に組み入れるだけの言わば線の引き直し作業のみであったと伺っております。 良好なまちづくりを牽引するためにどのような制度が適切なのか、例えば全市的に一律に対象にしたほうがいいのか、あるいは地域ごとに地形、文化等を考慮しプランを構築する方法がいいのかどうか、そのような議論があったとは残念ながら聞こえてまいりません。 さきに述べた課題、問題点が点在する中で、良好なまちづくりを牽引するべき方法論について、議論・検討もなされていない、仮にそうであるとすれば、どうしてなのでしょうか。私には理解ができません。 例えば、全市的に地区計画を考える方法、あるいは地域によっては立地適正化計画、さらには本市も過去に実績もございます区画整理事業など、線引き制度だけにとどまらず、ほかにも様々な手法があるはずであります。なぜ具体的な議論がなされてこなかったのか。ここは早急に有識者、とりわけ現場で頑張っていただいている開発業の皆様方、あるいは不動産業、土地家屋調査業、あるいは測量業等々の皆さんの意見も取り入れつつ、早急に期間を区切って協議・検討するべき案件だと思いますが、どうなのでしょうか。当局のお考えをまずお聞きしておきたいと思います。 次に、2項目め、救急・急病医療体制の維持について質問をさせていただきます。 この件については、過去、私自身も複数回、お話をさせていただきました。現状としても、二次救急医療機関への搬送実績、急病診療所の受診状況はいずれも約2割程度、市外からの皆様方の搬送、あるいは受診利用があるようであります。その一方で、市内の医療体制は、お医者さんの高齢化などによる医療人材不足などから、ここ数年間においても、二次輪番病院制度からの離脱の状況が残念ながら続いております。しかしながら、この制度、いずれも今後ともしっかりと継続を確保しなければならないと思っております。 また、急病診療所、市内だけでは医師の確保は難しい。したがって、長崎大学のほか、県外の大学などからの応援により運営をされておられますけれども、県外からの派遣には多額の費用を要しているという実態もございます。 申し上げましたように、この事業も継続をしなければいけません。こうした状況を踏まえて、私は以前から、例えば西九州させぼ広域都市圏など、周辺自治体の負担の在り方について、御負担をいただくという在り方について質問させていただいたところであります。例えば、昨年の9月定例会における一般質問に対して、公平な負担の在り方を議論することが互いに共通する医療体制の課題に取り組む上で大変意義深く、重要なポイントの一つであると市長のほうからも御答弁をいただいております。 しかしながら、お聞きするところ、その後、これに関する目立った動きが見られません。特に本市の二次救急輪番体制は既に待ったなしの状況と思われることから、連携中枢都市圏を活用した周辺自治体における公平な負担の在り方について、アクションプラン、ロードマップを早急に策定していただき、そのスキームを固めるべきだと思いますが、改めて当局のお考えをお聞きしておきたいと思います。 1回目の質問については、以上で終わらせていただきます。 ◎都市整備部長(溝口勝利君) (登壇) 1項目めの区域区分によるまちづくりについての御質問にお答えさせていただきます。 本市のこれまでのまちづくりの基礎としてきた都市計画の基本理念につきましては、都市計画法第2条に、「農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定める」とされております。 この理念に基づく都市計画制度は複数の階層によって構成されており、まず地形や人口、土地利用、交通などを勘案し、一体の都市として整備・開発・保全すべき区域を都市計画区域に都道府県が指定し、その整備等の方針につきまして、区域マスタープランに定めるものとされております。その上で、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るために必要な場合、議員御質問の区域区分によって市街化を促進する市街化区域と市街化を抑制する市街化調整区域に区分する、いわゆる線引き制度にて対応いたしております。 県内の都市計画区域の指定、区域マスタープランの策定、区域区分の事務は長崎県が担っており、本市のみならず、広域的な観点から、客観的なデータに基づき、都市計画制度による都市づくりが必要と判断され、適切に運用されているものと認識をいたしております。 また、広域的な区域マスタープランに対し、地域に密着した見地から都市計画の方針を定めるものとしまして、市町村マスタープラン、いわゆる佐世保市都市計画マスタープランがございまして、令和3年3月に改定をいたしたところでございます。 一方で、都市計画制度においては、こういったマスタープランに基づき、商業系、工業系、住宅系の用途地域や高度利用地区などの地域地区を市街化区域に定め、それぞれの都市活動に適したまちづくりを誘導するとともに、道路、公園、下水道、ごみ処理施設などの都市施設を都市計画に位置づけ、居住者等の利便性の向上、良好な都市環境の確保を図ることができるとされております。 こういった都市全体を俯瞰した計画制度のほか、地区の適性に応じたまちづくりを推進するものとして、よりきめ細やかなルールである地区計画や土地区画整理事業、市街地再開発事業など、様々な制度を活用することができ、本市におきましても佐世保駅周辺再開発事業や栄・常盤地区市街地再開発事業など、様々な事業に活用してまいりました。 さて、線引き制度の有効性につきまして、議員から、都市計画を取り巻く社会情勢の変化に適した線引き制度になっているかという観点での御質問をいただきました。 線引き制度は、創設時においては人口増加を背景とした活発な住宅需要による都市のスプロール化の防止を目的としておりましたが、平成18年の都市計画運用指針によりますと、本格的な人口減少・高齢社会における対応が求められるようになり、またモータリゼーションの進展等により、都市機能が無秩序に拡散していることでの悪影響が懸念されるようになったという社会情勢の変化に応じた議論が行われてきております。 本市の現状といたしましては、市域面積の約10%に当たる市街化区域に市民の約80%の方がお住まいになり、市の中心部や相浦、大野、日宇、早岐といった地域核には生活に必要な拠点施設が集約するなど、コンパクトで利便性の高い市街地が形成されており、これまでの線引き制度の有効性は一定高いものと考えてございます。 また、本市におきましては、区域区分を定める佐世保都市計画区域のほか、区域区分がない江迎都市計画区域や宇久都市計画区域があり、それ以外の場所は都市計画区域外となっておりますが、このような様々な区域が混在していることに問題はないのかという御質問もございました。 冒頭で御説明申し上げましたとおり、都市計画区域は、広域的な観点から客観的に定められており、区域区分につきましては、現況の市街地形成の状況や将来的な都市化の必要性等を勘案して定められております。 したがいまして、必ずしも市域と一致するとは限らず、市町村をまたがって都市計画区域が指定される、または同じ市域に特性が異なる複数の都市計画区域が存在することは一般的であり、本市の現状を鑑みますと、まちづくりに大きな支障があるという認識はございません。 このような都市計画制度の運用につきましては、適宜、長崎県とも協議しながら、また各種審議会や協議会、市民への説明なども行い、必要な検討を進めておりますが、専門的な内容も多いことから、市民や事業者の皆様に深く御理解いただくことが難しいこともあったかと存じますので、より分かりやすくお伝えできますよう、今後とも意を用いてまいりたいと存じます。 次に、良好で持続可能な都市形成を進める手法の検討についてでございますが、これからの都市形成を考えるときに避けて通れないのが人口減少・高齢社会の進展であり、人口が減少し、高齢者が占める割合が高い水準で推移することに伴って社会保障費の負担が高まる中で、インフラの整備・維持に係る財源は毎年厳しく推移し、今後さらに老朽化する施設の更新等の負担が高まっていくと見込まれております。 このような取り巻く状況の変化を受け、都市計画の運用につきましても、さらに変化してきております。現行の都市計画運用指針におきましては、都市化の時代から安定・成熟した都市の維持への移行に対応するため、規制に加えて民間の活動や投資を誘導する観点が必要であり、規制と誘導を一体として講じていく必要性が示されており、その手法の一つとして、立地適正化計画による都市の再生が求められております。 また、近年、多発化・激甚化する自然災害に対応するため、災害ハザードに対応した土地利用の必要性が高まっており、その運用を制度化するための都市計画法の改正がございましたので、本市におきましても、都市計画法に基づく開発行為等の許可の基準に関する条例の改正案を昨年12月定例会にお諮りし、本年4月から施行するものでございます。 このような社会情勢に対応するためには、将来に向けた持続可能な都市を構築することが必要であり、第7次総合計画における共通概念といたしまして、コンパクト・プラス・ネットワーク型によるまちづくりを掲げ、都市計画マスタープランにおきましても、市街地の拡大を抑制し、既成市街地や既存集落の再生に注力する方針を掲げております。 これらの実現を図るため、現在、市街化区域におきましては、持続可能な都市の再生に向けた新たなマスタープランとしまして、立地適正化計画の作成を進めているところであり、また中心部だけではなく、郊外の生活拠点の再生についても検討を進めているところでございます。 都市の再生を計画的に進めるためには、一定の制限により、土地利用をコントロールしていくことが必要となってまいりますので、区域区分を維持することを前提としつつ、拠点となる一定の区域においては、災害リスクを十分に考慮した上でコミュニティの維持に資する住宅地再生のための方策を講じていきたいと考えております。 都市計画制度の運用に関して、議員から、現場に携わる専門家等の意見も聞きながら検討すべきという御意見もいただきました。例えば、都市再生協議会において、まちなか再生や住宅地再生を検討する上で民間との連携が必須になりますので、協議会の委員のほかにも関係団体等との意見交換を予定いたしております。 また、空家等対策協議会や開発審査会、さらに都市計画行政の円滑な運営を図るための都市計画審議会など、都市計画に関連する附属機関における議論をしっかりと進め、例えば地区計画の運用指針の見直しなど、良好で持続可能な都市形成を進めるための手法などにつきまして、意見交換を行いながら進めてまいります。 以上でございます。 ◎保健福祉部長(野村成人君) (登壇) 2項目めの救急・急病医療体制の維持については、私からお答えさせていただきます。 市外からの受診がございます市立急病診療所や本市の二次救急輪番病院による医療の提供に対する西九州させぼ広域都市圏などの枠組みを活用した周辺自治体からの公平な負担の在り方検討につきましては、令和元年12月定例会及び令和3年9月定例会におきまして、それぞれ議員から御質問と御提案をいただいたところでございます。 確認の意味も含めまして、本市の救急医療体制について御説明申し上げますと、まず初期救急につきましては市立急病診療所が、二次救急につきましては旧市内10か所の救急告示病院と北松中央病院が、また三次救急につきましては、救命救急センターを備えます佐世保市総合医療センターが、それぞれの役割に応じて休日・夜間における救急患者の受入れを行っております。 そのうち市外からの受診状況を申し上げますと、旧市内10か所の二次救急輪番病院におきましては、令和元年から令和3年までの3年間の平均で本市を含む周辺市町、佐世保市、西海市、平戸市、松浦市の4市と佐々町、波佐見町、川棚町、東彼杵町の4町から搬送された救急患者のうち15.3%が市外からの搬送患者という状況になっております。 これらの主な理由といたしましては、周辺自治体では、休日・夜間における診療が可能な医療機関が時間帯や診療科目により、限定されることなどもあり、市外からの患者も佐世保市内の病院を受診せざるを得ない状況にあるためと考えられます。 この市外からの搬送実績は近年、同程度の割合となっておりますが、そのうち本市が負担金を頂いている自治体は、周辺でも特に搬送患者が多い西海市からのみとなっております。 一方、北松中央病院における平戸市、松浦市、佐々町からの救急搬送患者は、令和元年から令和3年までの3年間の平均で約4割の42.2%に上ります。北松中央病院では、旧江迎町時代からの取決めに基づき、平戸市、松浦市、佐々町からそれぞれ一定の御負担をいただきつつ、本市負担を合わせ、休日・夜間の二次救急医療を運営されているところでございます。 本市内で初期救急を担う市立急病診療所につきましては、平成30年度から令和2年度まで3年間の平均で、市外から17.8%の患者を受け入れておりますが、利用された自治体からの負担はいただいておりません。また、県北地域で唯一の救命救急センターの運営につきましても、令和2年度の実績では22.8%が市外からの患者となっておりますが、周辺自治体からの負担はいただいていないという現状でございます。 そこで、御質問の連携中枢都市圏の活用につきましては、当該圏域を構成する自治体の中には、小値賀町や佐賀県伊万里市など、本市救急医療体制の利用がほぼない市町も含まれますことから、検討の枠組みについては利用状況などを考慮しながら協議を進める必要があるものと考えております。 また、負担の在り方に関する今後の進め方といたしましては、救急医療を含む本市の医療政策全般に関する取組に関し、現在策定中の佐世保市地域医療政策推進計画に基づき対応していく予定といたしております。 この取組を推進するため、令和4年4月から新たに、医療政策課をはじめ看護専門学校と急病診療所といった医療部門を統括する医療政策監を配置するとともに、医療政策課に職員1名を増員し、新たに施策検討を行いながら、議員御提案の救急医療をはじめとした周辺市町からの負担金の在り方につきましても、令和5年度中には基本的な考え方が示せますよう、精いっぱい努力してまいりたいと考えております。 今後の協議に向けましては、診療報酬などを含む収支状況なども踏まえ、法令や地方財政制度など、従前からの様々な仕組みとの調整や考え方の整理を伴う上、何より相手のあることであり、各市町それぞれの事情などから、極めて厳しい協議になることも予想されますが、進捗状況に応じて議会へも御相談させていただき、お力添えを賜りながら、可能な限り前に進めてまいりたいと考えております。 ◆29番(市岡博道君) (登壇) それぞれにありがとうございました。 2項目めについて、認識的には共通のものであろうと思っております。確かに大変だと思いますが、ただ急病診療所であれ、二次救急であれ、制度としては、やはり事業としてしっかりつないでいかないといけないわけでありますから、十分に御理解をいただく努力、これはぜひ必要だろうし、それを踏まえた上で、みんなで支えていくという形に早くなっていければとも思っておりますので、よろしくお願いをしておきたいと思います。 さて、この1項目めについてですが、今答弁を聞いていて、私がお聞きしたいこととは少しずれがあるのかなという感じがしてしようがなかったんです。これだけのことをやっていますよということはしっかりお話をされた。分かるんです。私も一定理解はしています。一つ、課題として取り上げた中でも、一つの自治体の中で異なった都市政策を取らざるを得ないということについては、県との御相談も踏まえた上でとのお話がございました。それはそうでしょう。一定理解はさせていただきます。ただ、地域の方々に対してはしっかりと情報を周知してもらわないといけませんが--これはこれでいいんです。 ただ、私は市当局に、行政に対して考え方を問うているんです。1回目の質問でも申し上げましたが、例えば、税に対する不公平感、あるいは行政サービスに対する不公平が現実もう生じているんですよ。もう理解されていると思う。こういったことについて、行政としてどう処理をされようとしているのか。もちろん、その手前でもって、その課題の抽出--これは何も都市整備部だけの話ではないと思います。 具体的に申し上げましょう。市街化区域内においては、都市計画税という税があります。これは市が直接頂戴をする。例えば、今日まで佐世保市の都市政策としては、冒頭申し上げたように、利便性の確保という前提で、市街化調整区域でも一定のルールを満たせば、宅地開発を認めましたね。それを市街化区域に編入するという形を取ってこられた。市街化調整区域であれ、そのようなことを認めたということは、いわゆる行政としてのサービス、例えば水道であれ、道路であれ、こういったものをしっかりと整備されているんです。しかしながら、市街化調整区域内であれば、都市計画税は発生しません。行政は分かっていても、住民の方々はおそらく気づきにくいでしょう。同じサービスをお受けになられて、区域が市街化区域であるがゆえに都市計画税が発生する。市街化調整区域である場合には同じサービスを受けるけれども、税が発生していない。その実態があるではないですか。市街化調整区域から市街化区域への編入というのは人口減少というのが大きな理由でしょうけれども、今後はなかなか難しい。しかし、今申し上げた税の不公平感、これはもう存在しているんです。これについてどう対応するんですかと。いやいや、住民のほうから声が出ないから、そのまま前に進みますというのではいけないでしょう。 さらにもう一点、下水道、これは前から課題になっています。とりわけ西部地区で、今、公共下水道をしっかり頑張って広めていただいている。水道局としては、市街化区域、市街化調整区域というエリアの区別なしに、下水道を普及させるという前提で整備計画をお立てになった。ただ、そういう中で、今日までは、本管からそれぞれの家庭までつなげるために布設する、いわゆる取付け管、これは水道局が負担していた。しかし、今後はどうなのですか。その取付け管の布設を住民の方、つまり利用者の方に負担をいただくというふうな方針になっているんです。どういうことが生じるか。同じ市街化調整区域にお住まいの方で、今日までは、この取付け管までは行政側が負担してくれた。しかし今後は、その取付け管でさえも住民が負担しないといけない。理由は市街化調整区域だから。同じ行政の中で、そういった事柄について、そういう問題点が出てきているというのは分かるわけだから、例えば財務部とか水道局とかとしっかり議論して、それに対する対応策をきちんと組み立てる--私も線引き制度というのは一定理解をします。ただ、今のままで、先ほど部長がおっしゃったような考え方で、線引き制度が進んでいくと、この課題は取り残されたままです。だから私は先ほど、1回目の質問で申し上げた。こういった課題を解消するために果たしてこのままの線引き制度で進んでいいのかどうか。いやいや、ほかにも方法があるのかどうか、そういった議論があっているのかどうかを聞いているんです。お答えください。 ◎都市整備部長(溝口勝利君) (登壇) 今、御質問をいただきました件につきましては、細かく下水道の部分とか、いろいろな部分で税の公平性の部分での議論というのは、例えば下水道の整備計画を立てる際など、庁内で議論はさせていただいております。 もう一つ、線引き制度に関しては、この人口減少下において、先ほども答弁申し上げましたとおり、なかなか拡大が難しいという状況の中において今日に至っているという状況です。十分な答弁になっておりませんが、現時点としてはそういう状況でございます。 ◆29番(市岡博道君) (登壇) 行政を進める上で、やはり課題として、市民、住民の方々に対して都市政策を進める上で、先ほど来、部長が御答弁なさったことについてはそれはそれで一定理解するんです。ただ、それを進めるに当たって、やはり課題も出てきている。今、再答弁で言われたように、それはお分かりだと思う。だったら、それはしっかり方向性をつくり上げないと。仮に住民の方からそういった御指摘が出てきたら、どう答えるんですか。それを私は申し上げているんです。何も線引き制度が駄目だと、線引き制度をやめましょうなんていうことを申し上げているわけではない。理解はします。しかし、行政としてそういった課題を確認しつつ、それに対して対応策をきちんと組み立てる、こういった作業ができていないということについて私は問題があると思います。 下水道に関しては、もう待ったなしです。もうどんどん進んでいるわけですから。問いかけが出たらどうするんですか。「いやいや、人口減少が進んでしまって、今までは市街化区域に調整区域も編入ということもあり得たんですが、もうないですもんね、だから我慢してください」、これで済みますか。だから申し上げているんです。 仮に税の話でも、「聞いたところ、隣のところは調整区域だけれども同じサービスを受けている、でも都市計画税は払っていない、何で」と聞かれて、「いや、編入するのをもうやめちゃったから、たまたまそうなっているんですよ」で済みますか。そういった事柄が市民の方から御指摘が出る前に--もうひょっとしたら御指摘が出ているかもしれないけれども--しっかりどう対応するのか。基本としての線引き制度というのは一定理解をしますから、その辺はしっかり対応策を考えておいてもらわないといけないのではないですかということを私は申し上げたい。御理解をしていただければと思っております。 最後に3回目ですから--良好で持続可能な都市形成を進める手法の検討と私は申し上げましたけれども、やはり課題を抱えたまま前に進むというのは私はあり得ないと思います。ある意味、この課題解消を前提に、一定、時間を区切って、スピード感を持ってその検討は進めるべきだと私は思っておりますけれども、改めて良好で持続可能な都市形成を進める手法の検討についての市長の決意をぜひお聞きをしておきたいと思います。 これで質問を終わらせていただきます。 ◎市長(朝長則男君) (登壇) 市岡議員の再質問にお答えをいたします。 1項目めの区域区分によるまちづくりにつきましての再質問ということでございました。 議員からは、良好で持続可能な都市形成を進める手法について、土地利用に携わる関係者の意見を聞きながら考え直してはどうかという御意見をいただき、その検討についてはスピード感を持って進めるべきではないかということで、私の決意をお尋ねになられました。 今後のまちづくりの方針といたしましては、人口減少社会において持続可能な都市であるために、しっかりと第7次総合計画に定めた方向性に基づき政策を総動員し着実に進めることが必要であることは、さきの施政方針で述べたとおりでございます。 また、第7次総合計画の基本構想は、都市構造の在り方として、無秩序な都市の拡大による弊害を抑制し、コンパクト・プラス・ネットワークによる都市形成をまちづくりにおける共通する概念として示しているところでございます。この共通概念に加え、災害ハザードを考慮した安全・安心なまちづくりの視点や公共インフラ等の整備・維持に関する優先度の明確化による行政経営の視点も重要性が高まってきております。 このような中、本市の都市核に位置づける「まちなか」におきましては、西九州させぼ広域都市圏の中枢として、圏域全体を牽引する役割を維持、あるいは高めるために、中心部の活性化や再生は特に重要であり、市街地再開発事業の検討なども必要と考えます。 同時に、本市の郊外部には、自然豊かで農林漁業が盛んな地域、窯業が盛んな地域など、様々な特色が際立った地域があり、本市の魅力の一つとなっておりますので、生活拠点を再生していくことで地域の維持を図っていくことも大切であると認識いたしております。 なお、地域ごとの課題につきましては、市政懇談会や議会との対話などを通じお伺いをしているところでございますが、これらは住宅地を開発すれば解決できる課題ばかりではなく、それぞれの地域特性などを十分に精査しながら対応すべき事柄であると考えております。 いずれにいたしましても、本市全域を見れば、都市的な土地利用だけではなく、農林漁業の第1次産業、製造業などの第2次産業、サービス業などの第3次産業といった各分野において、それぞれが安心して操業できる環境を整え、振興を図ることが重要でございます。 議員から御提案をいただきましたまちづくりの手法の見直しにつきましては、社会情勢の変化により、私が必要だと判断した場合は適宜、担当部局に指示を行ってまいりますが、当面は都市計画マスタープランに掲げる都市づくりの方針、地域づくりの方針に基づき、現行の区域区分等の都市計画制度の運用により、調和が取れたまちづくりを目指してまいりたいと思いますので、御理解をいただければと思います。 本市は4月に市制施行120周年を迎えますが、先人が築いてこられたこの佐世保市を次の世代につないでいく大きな節目の年となると考えておりますので、引き続き第7次総合計画を推進することで、持続可能なまちづくりをしっかりと進めてまいりたいと思っております。 また、議員が御指摘をされました不公平な状況などの課題につきましては、様々な矛盾が生じているということも事実だと思っております。そういうことにつきましては、しっかり洗い出しをしながら、どういう解決方法があるのか、そういう手法についても今後、検討を深める必要があるのではないかなという認識を持っているところでございます。 以上でございます。 |